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ぼた餅は観音さま(和尚さんと小僧の話)(現代語版)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、ある寺に和尚さんと小僧がいました。
あるとき、だん家からぼた餅が送られてきました。
ちょうど和尚さんが、用事があって出かけるときだったので、
「小僧や、(私が)帰ってくるまで観音さまにお供えしておきなさい。」
と言って出かけました。
小僧はおなかがへって、がまんできなくなってしまいました。
(それで、)ぼた餅を全部食べてしまいました。
そうして、観音さまの口のあたりに、あんこをべったりつけて、
知らない顔をしていました。

和尚さんが帰ってきて、
自分もぼた餅を食べたいのを、がまんして出かけていったので、
さて食べようと思ったら、ひとつもない。
小僧を呼んで、
「ぼた餅、どうした。」
と聞いたら、
「さあ、うー、あのー、私知りません。」

和尚さんが本堂に行ってみたところ、
観音さまの口のあたりに、あんこがべったりついていました。
小僧は和尚さんのあとについていって、
「あれえ、観音さまが食べてしまったのでしょう。
口にあんこがべったりついている。」
と言いました。
そしたら、和尚さん(怒って)腹を立てて、
「ひどい観音だ。勘弁できない。」
と言って、釜に入れて煮てしまおうと、(観音さまを)煮たところが、
だんだん煮立ってきたら、観音さまが、
「クッタ、クッタ、クッタ、クッタ。」
と音を立てました。
「この観音、私のぼた餅を食ってしまった。ひどい観音だ。」
と(釜から)引き上げて、錫杖(※)でひっぱたいたら、こんどは、
「クワン、クワン。」
と言ったそうです。

※錫杖(しゃくじょう)=杖の一種で上部のわくに数個の輪がかけてあり、
振ると鳴るので、読経などの調子を取るのにも用いられた。


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