みどりの中に光る絹の町川俣
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古屋(ふるや)のむり(お父さんとオオカミの話)(現代語版)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、貧しい家が、むかしにありました。
家に戸締りの棒をして火をたきながら、
子供たちは寝ながらみんなで話していました。
「お父さん、お父さん、世の中で一番怖いものはなんだろう。
オオカミは恐いよね。」
と聞いたら、(お父さんが、)
「なに、オオカミなんて恐いことがあるか。
古屋のむり(※1)と米びつの下だし(※2)たのが一番恐い。」
と言いました。

ちょうどそのとき、馬小屋にオオカミがやってきていました。
ガサガサと音がしたので、お父さんは馬を盗まれたのでは大変だと、
まっ暗がりの馬小屋に行って、黒いものに飛び乗りました。
オオカミの方がびっくりして、古屋のむりと米びつの下だしたのにとりつかれた。
これは大変だと思って、一目散に山にかけ登っていきました。
お父さんはおおかみの耳につかまって、
「えい、えい、えい、えい。」
と(乗って)行ったらば、そのうちに夜がだんだん明けてきて、
ひょいと乗っていたのを見たら、口が耳までさけているオオカミでした。

お父さんはびっくりしてしまい、青くなって、さあ、大変だ。
これでは食われてしまう。
どうしたらいいかと思って、本気になって考えていたら、
大きな洞穴が見つかりました。
いや、これは(助かった)と思ってひらりと飛び落ちて、洞穴の中に隠れました。
オオカミはいやいやこれは助かった、助かったと思って、
山奥に帰って、けものたちの会議を開きました。
「こういうわけで、おらはすごいものにつかまってしまった。
すんでのところで命がなくなるところだった。
みんなで退治しないと、後でまたどんなことになるかわからないから、
誰か行って来い。」
と言っても、誰も行くものはありませんでした。
それで、くじを引いたらサルに当たってしまいました。
サルは青くなってブルブルふるえて、
「おら、とでもだめだ。」
と言いました。
そうだけれども、
「くじに当たったのだからだめだ。」
と、みんなで洞穴の前に行って、サルが入るのを見ていました。
サルは恐くて、恐くてしょうがなかったが、
のぞいて見たらまっ暗なので、尾をいれて洞穴の中をかき回しました。

お父さんはびっくりして、何がでてきたと思って、ぎゅっとつかんでしまいました。
サルがギャンギャン、ギャンギャン言うし、
お父さんは命がけでつかまっているし、まわりのけものたちは、
「ほら、つかまった。」
と思って、みんなワラ、ワラと逃げてしまいました。
そうして、とうとう、サルの尾っぽは半分ぬけてしまい、
それから、サルの尾っぽは短くなってしまい、顔が赤くなってしまったそうです。

※1 古屋のむり=古屋の雨もり
※2 米びつの下だし=米びつの底が見える


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