みどりの中に光る絹の町川俣

ホトトギスと兄弟(1)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、むかし、うんと貧しいぜえがあったど。
腹の一番減る五月の頃なんだってない。
おっかぁさまが芋煮でわらしど食ったんだと。
もう一人のわらしが遊びさ行ってでいながっただら、
どんぶりさわげで残しておいたど。
ほしだら、後がらけえってきたんで、
「おめえの分残しでおいだがら、早ぐけぇ。」
って、おっかぁさまに言わっち、
「こらほどうまい芋だらば、先さ食ったしとはうまいどこうんと食ったんだべ。」
って、急いで本気なってガッガッ食ったがら、腹ぶっちゃげちまったど。
ほして、鳥になっで、
「ぽっとぶっつぁげだ、オダダカショ。」
って、鳴きながら窓ぶっつあいで飛んでっちまったど。

五月の節句頃になっと、
「ぽっとぶっつぁげだ、オダダガショ。」
って、口が割れるほど血い流して鳴ぐんだって。
ほれが今のホトトギスなんだってない。
こんで、ざっとむかしはさ-がえだ。

川俣 菅野 サノ


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