むかし、南平にある法印さま(山伏)が住んでいました。
ある日、行(ぎょう)に出かけた時に、
日向(ひなた)にキツネが昼寝しているところに出会いました。
法印さまは、いたずらしてやろうと、
キツネの耳にほら貝をあてて思い切りブァッーと吹いてみたら、
キツネはびっくりして逃げていってしまいました。
そして、キツネは池に行って水に影をうつし、
法印さまに化けるところを田んぼで働いている人にわざと見せて、
急いで遠くに行ってしまいました。
しばらくたって、本物の法印さまがその働いている人のところを通りかかると、
「この化けギツネめ。またずうずうしく来やがったな。なぐり倒してやれ。」
と言って、棒やげんこつでなぐり倒されて、
傷ができるやら、こぶができるやら、
法印さまは泣きっつらでやっと家に帰りました。
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