みどりの中に光る絹の町川俣
トップページ > 昔ばなし > 昔ばなし > 法印とキツネ(法印(山伏)とキツネの話) > 法印とキツネ(法印(山伏)とキツネの話)(3)

法印とキツネ(法印(山伏)とキツネの話)(3)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、キツネが山のくぼ地の日当りのぜえどこさ、
昼寝しっとったど。
ほしたら、法印さまが通りかがって、
「キツネ、おったまげさせてくれっペ。」と思って、
キツネの耳んとこさほらの貝あてで、ボホーッ、ボホーッと鳴らしだら、
キツネの野郎、おったまげてとんびあがって逃げでいっちまったと。
「いやぁ、おもせがった。」
って喜んでな、また、看経(※)しながら歩いていったど。

キツネはごせやいで、法印の奴、また、けえりにはここんと通んだべから、
今度はおらの方でばかにしてくれっペなとなってない、
あんのじょう戻って来たんで、山んとこ川にしちまったど。
法印さまはおかせえなと思ったが、
細い橋あったんであわてで渡ったんだって。
ほしたら、ほれは細い木で、法印さま木のしんぽいまで上って、
一晩そこで騒いでだつぅんだな。
朝まになって草刈りさいった人が
「お-い、法印さま、ほごで何してんだ。」
「いや、橋渡っでこごまで来たが、行くどこねえ。」
って、ほんとにしんぽいまで登っちまって、騒いでいだと。

※看経=経を読むこと。

秋山 高橋 ナカ


[表示切替]
モバイル | | トップに戻る