みどりの中に光る絹の町川俣

イヌの足(弘法大師と犬の話)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、弘法大師さまがあっどき、
「わらう」という字を作っペとして筆を持ったが、
なんぼにも書けながったと。
なじょーに書けばいいかなど考えでだら、
表でわらしらが笑う声が聞えできたと。
ちょっと障子を開けてみっと、
わらしらが子イヌさ籠(かご)をおっかぶせて遊んでだと。
籠がきついもんだからなじょーにしても取んにんで、
子イヌがはねてんのがおもしゃくて笑ってたんだとさ。
大師さまはほれ見で、犬という字さ竹をかぶせてみだら、
ほんに笑っでるように見えたんで、それから「笑」という字ができたんだとさ。

ほんで大師さまはイヌさ恩返しすっペと思ってなあ。
むかしはな、イヌは三本足だったと。
大師さまは三本足じゃ不自由だべがら、一本ふやして四本にしてやっペと、
五徳から一本取ってイヌさ付けてやったと。
五徳は四本足だったが、それから三本足になったんだとさ。

イヌは喜んで大師さまにもらった足に、
しょんべんなんどひっかけたら罰当っペと思ってない、
そんたびにその足持ちゃげてたれるようになったんだとさ。

※五徳・・・火鉢や囲炉裏などに置いて、鉄びんなどをかける鉄製の道具。

大綱木 菅野 佐吉


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