みどりの中に光る絹の町川俣

瓶と小石(ばかむこと甘酒の話)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

南山のばかむこが親類のご祝儀さ呼ばっち、
めえの日行ってとまったど。
晩げ甘酒出さっちゃっというんだな。
飲んでみだらめっぽーげぇうまいがんで、
その味忘れらんねで夜中に流しさ起ぎでったど。
瓶めっけですぐって飲んだどころが、だんだん下の方さなっちまっで、
瓶さ首つっこんで飲んでだどこ、瓶取んねぐなっちまったど。
がおっちまってどこさも隠れっとこねえもんだがら、
あごやさ行っで、かぐっちじっとしてたど。

ほしたら、ほがの人がへえって来て用すませたんだが、
紙もってこねがったんで、がおっちまったど。
ほんで、そごらの石ころひろってしりぬぐって、クーンとぶん投げだら、
すみっこの方さかがんでたばかむこの瓶さあたっで割れちまったど。
げえぶん悪くてどっちも言わんね話だがら、
「おたげえに言わねえことにすっペ。」
って、約束したど。

次の日、いよいよ三三九度の式が始まって謡となったど。
ほしたら、石ぶっげた人が、
「池のみぎはの 鶴亀はー。」
ってやったつがら、
ばかむこは瓶ぶっつぁげだ話でちまったど思って、おったまげちゃって、
「石でしりぬぐって、おらの瓶さぶっつげだー。」
って、謡に負げねように高い声でやっだとさ。

川俣 佐藤 庄吉


[表示切替]
モバイル | | トップに戻る