むかし、あっとこに、欲ふけえ名主さまがあったど。
ある日、一人の男がやっできて、
「おら食わしてさえもらえばぜえがら、使ってけろ。
ただ、先祖代々観音さま信仰してっがら、観音さまの命日だけは休ませでけろ。」
って言ったど。
欲ふけえ名主さまは、これは安い拾いもんだど喜んで、
「うん、えがんべ。」
って、使うごどにしたど。
ところが、次の日かせぐがど思ったら、今日はなに観音の日だがら休み、
明日はなんの観音の当り日、あさってもなに観音だがら休むって、
一か月のえ-だただ食いさっちゃど。
観音さまは三十三あっかんな。
欲ふけえ名主さまは泣くほどごせやいで、とうとう暇くっちゃど。
川俣 佐藤 庄吉
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