みどりの中に光る絹の町川俣

小神と小島(小手の殿様の話)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、小手の殿さまが村の人さ、
「ここはなんてとこだ。」
って聞くと、
「ここは小神(こがみ)でござります。」
「ほんだら、山の向うはなんてゆう。」
「小島(おじま)って言います。」
ほしたら、殿さまはおれを馬鹿にするってごしぇやいで、
牢さぶち込んじまったど。
ほして、打ち首にしろって命じて、
「この世の別れに、なにか言い残すことあっだら言ってみろ。」
って殿さまに言わっちゃんで、
「最後の別れに、せがれさ会わせでけろ。」
って言うんで、会わせだら、
「おれはこれで殺されっちまうが、おめえに言っておくが、
これがら決して干したいかをするめって言ってなんねぞ。
生(なま)のうちはいかだが、干してしめえばするめだ。
同じ小さいという字も、かたっぽは小神、
かたっぽは小島と言っただけでも打ち首になっかんな。」

ほしたら、殿さまが脇で聞いでて、
「うん、なるほど。ほれもほうだ。」
って、死罪を免れっちゃったど。

川俣 佐藤 庄吉


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