むかし、むかし、あっとこに、欲ふけえしんしょもちの人があったど。
たくさんの手間取りやめしだきを使ってでない、夜も昼も働かせてたど。
めしだきの中にお福というめろこがおったんだと。
毎年、節分になっと、そのぜえのだんぽがずない声で、
「鬼は外、福は内。」
と豆まきをしていたんだと。
ほんどきはお福は外におってない、「福は内。」といっだどき、
「福がへえってめえりやした。」といって、ぜえさへえることになっとったど。
毎年、寒い夜に外さ立って待っでるのが、
お福はいやでいやで仕方なかったげんちょも、
だんぽさまからいわっちるがら仕方なかったど。
ある年の節分の夜、いつものように豆まきが始まっで、
「鬼は外、福は内。」
ってだんぽがずない声でいったげんちょもお福がへえってこねえんで、
「福はなじょ-した。なじょ-した。」
って、ずない声でお福のこと呼ばったど。
すっと、ぜえの中さいだお福が、
「只今、ぜえの外さでっとこでごぜえます。」
って、外さでていったど。
お福はばんげしないいづかった仕事ができながったのど、
寒い外さでんのがいやだったんべない。
外さでんのが遅っちまったど。
へえってこなきゃなんねえお福が、「福は内。」で、外さ出ていちまったんだなあ。
ほれから、そのぜえはぶっしゃせが続いで、貧乏してとうとうぶっつぶっちまったど。
川俣 佐藤 庄吉
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