みどりの中に光る絹の町川俣

鬼かけ馬(むこと暴れ馬の話)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

南山のばかむこがしゅうとのぜえさ行ったどころが、
鬼かけ馬(※1)飼ってだんだと。
暴れで誰も手つけられねんだと。
しゅうとおとっつぁまが、
「この馬さは、誰も乗りといねんだ。」
って言ったら、
「おらが乗ってくれっがら。馬なんどなんでもねえわい。」
って、乗ったどころが、勢いよぐ走り出しで、
なんぼ手綱ひっぱったってなんたって、止まるもんでねえ。
ばかむこは、
「ホーイ、ホーイ、ホーイ。」
って、泣ぎ泣ぎ乗ったんだって。
ほれ見で近所の人だちが、
「てえしたむこだ。
誰も手がげねえ馬さ乗っで、鼻歌がけで(※2)行っだぞ。
えれえむこだ。」
って言ったんだとさ。

※1 鬼かけ馬=暴れ馬
※2 鼻歌がけで=鼻歌うたって

西福沢 菅野豊之助


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