みどりの中に光る絹の町川俣
トップページ > 昔ばなし > 昔ばなし > タヌキの機織り(狩人とタヌキの話) > タヌキの機織り(狩人とタヌキの話)(現代語版)

タヌキの機織り(狩人とタヌキの話)(現代語版)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、若い鉄砲うち(狩人)が一人で山に狩りに出かけていきました。
その日はあいにく獲物に逃げられてばかりで、
とうとう日が暮れてしまいました。
そして、疲れてしまったので大きなスギの木の下で寝ることにしました。
遠くから聞こえてくるキツネやイヌの鳴き声を聞いているうちに、
若い鉄砲うちは昼間の疲れでぐっすり寝込んでしまいました。

しばらくたって、バッタン、バッタンとかん高く静かに聞こえてくる機の音で目を覚まし、
寝ぼけまなこをこすりながら周りを見ました。
すると、すこし先の大きなマツの木のあたりがぼーっと明るくなっていて、
そこから機の音が聞こえてくるようでした。
若い鉄砲うちはおかしなこともあるものだと、
わからないようにそろり、そろり行って上を見ると、
美しい女の人が大きなちょうちんつけて機を織っていました。

しばらくの間機の音を聞きながら見ていましたが、
ふと、この頃村に古ダヌキが出てきて村の人をだますということを思い出して、
こいつはきっと古ダヌキの仕業だろうと思い、しとめてやろうと思いました。
しかし、たまは一発しか残っていませんでした。
まちがえなく当てるには、大きなちょうちんを狙うに限ると、
こっそり鉄砲を構えバーンとぶっぱなしました。
見事にちょうちんに当たったと思ったら、美しい女の人は真っ逆さまに落ちてきて、
黒いかたまりになって暗闇の中に消えていきました。
若い鉄砲うちはほっとして、昼間の疲れで恐いのも忘れ、木の下で眠ってしまいました。

真っ赤なお日さまが向かいの山に上ってくる頃、
若い鉄砲うちは目を覚ましてびっくりしました。
マツの木の下にはべっとりとたくさんの血が落ちていました。
それをたどって畑を越え山の奥の方に行って見ると、
大きな岩の下で大きな古ダヌキがウーン、ウーンとうなって死にそうになっていました。

それから、村の人はタヌキにだまされずに、また、静かな村にもどりました。


[表示切替]
モバイル | | トップに戻る