みどりの中に光る絹の町川俣
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前世の報い(兄と鉄砲好きの弟の話)(1)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

昔、あっとこに兄弟があったと。
せなの方は毎年奥めえりさ行っとったが、
しゃでの方は行ったことがなかったど。
奥の山つんだから何ぼか奥ぶけえ山で、
鳥も獣もいっぱいいっペと思って、
鉄砲撃ちの好きなしゃでは、今年はおらも行ぐって、
あんちゃにくっついて行ぐことにしたんだど。
そして鉄砲をかつぎ出したどころが、
「あそこまで行って、殺生なことすんな。
罰あだっつぉ。持たねえでやべ。」
と言わっちゃが、鉄砲好きのしゃでは、
言うごと聞かねで持ってだと。

途中まで行ぐと、なんの、なんの木の枝さ鳥が止まってだと。
ありゃ、めっけだとなって、ぶとうとしたらあんちゃが、
「罰当だっからぶってなんねえ。ぶってなんねえ。」
って止めだが、ダーンとぶっちまったど。
うまく命中してない、落っこったど。
うまぐいったと拾ったら、鳥でなく袋さ金がいっぱい入ってだと。
あんちゃはそれを見て、なぜしゃではたまにきて殺生までして、
そんなの授かったんべと思って、
お山のお堂さ行って悔し泣きに泣いで、
泣き眠りに眠っちゃったど。
眠ってるうちに夢知らせがあったど。
「おめえは元をただせば、雀の生まれがわりで、
上がったおさごをチョン、チョン、チョンと無断で食ってだ。
しゃでは牛の生まれかわりで、奥の宮造っだどき、
いっしょけんめ材木運んだんだ。てえへん役立った。」
っていう知らせで、あんちゃは納得したんだとさ。

大綱木 管野 佐吉


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