昔、あっとこに兄弟があったと。
せなの方は毎年奥めえりさ行っとったが、
しゃでの方は行ったことがなかったど。
奥の山つんだから何ぼか奥ぶけえ山で、
鳥も獣もいっぱいいっペと思って、
鉄砲撃ちの好きなしゃでは、今年はおらも行ぐって、
あんちゃにくっついて行ぐことにしたんだど。
そして鉄砲をかつぎ出したどころが、
「あそこまで行って、殺生なことすんな。
罰あだっつぉ。持たねえでやべ。」
と言わっちゃが、鉄砲好きのしゃでは、
言うごと聞かねで持ってだと。
途中まで行ぐと、なんの、なんの木の枝さ鳥が止まってだと。
ありゃ、めっけだとなって、ぶとうとしたらあんちゃが、
「罰当だっからぶってなんねえ。ぶってなんねえ。」
って止めだが、ダーンとぶっちまったど。
うまく命中してない、落っこったど。
うまぐいったと拾ったら、鳥でなく袋さ金がいっぱい入ってだと。
あんちゃはそれを見て、なぜしゃではたまにきて殺生までして、
そんなの授かったんべと思って、
お山のお堂さ行って悔し泣きに泣いで、
泣き眠りに眠っちゃったど。
眠ってるうちに夢知らせがあったど。
「おめえは元をただせば、雀の生まれがわりで、
上がったおさごをチョン、チョン、チョンと無断で食ってだ。
しゃでは牛の生まれかわりで、奥の宮造っだどき、
いっしょけんめ材木運んだんだ。てえへん役立った。」
っていう知らせで、あんちゃは納得したんだとさ。
大綱木 管野 佐吉
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