みどりの中に光る絹の町川俣
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あまわだ清兵衛(清兵衛さんの話)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、小綱木さあまわだ(※1)がでえ好きで、
あまわだ清兵衛って言わっちゃ人があったど。
町さ行ぐたびにあまわだ買って来る人で、ほの日も遅くなっだが、
藁づと(※2)さあまわだ入っちぶらさげてけえって来る途中、
ごえらもようしてきたつぅんだな。
根っがらしみたれな清兵衛さん、
わが出したもんだがら、持ってけえらにゃ損だど、
藁づと作って入っちほれもぶらさげでけえって来たど。
「おっかあ、今けえったぞ。」
って、とんぼぐちさへえるめえに藁づと便所さ放り込んだど。
「おっかあ、あまわだ買っできたぞ。
流しんどこの戸棚さ入っちおいだがんな。」
って、そのまんま寝っちまったんだと。

次の朝ま、清兵衛さんが寝でるうぢに、
おっかあがかまどのわきで、
「おとっつぁ、なんだ。これは。」
って怒鳴ったど。
「なに言ってんだ。あまわだでねえが。」
「あまわだどごろが、とんでもねえ話だ。臭ぐてわがんねえ。」

清兵衛さん、おったまげてひろげてみだら、自分のお土産だったど。

※1 あまわだ=鮭の内臓
※2 藁づと=藁で編んだりたばねたりして、中に物を入れるようにしたもの

小綱木 管野 善次


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