みどりの中に光る絹の町川俣
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ばかな殿さま(ばかな殿さまの話)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、お城の庭番が庭掃除してだら、
粟一本おいでだがらつっかい棒して助けておいだら、
ずんない穂がでたど。
ほしだら、殿さまはこれはなんつうもんだって言っだがら、
これは百姓がつくる粟つうもんだと言っだら、だいぶなってんな。
これはなんぼ取れるっていうがら、
へい、これは一升まげば二升は取れますって言ってやったど。

ほして、あど、さんま出だごろさんま焼いで出したら、
うまいがら食っちまっで今一匹持ってこっていわっちゃげど、
ねえんだど、それっきり。
ほして、持ってきで殿さまの食ったさんまひっくりけえしでみだら、
片っぽまるっきりあったど。
骨から上ばがり食って。

ほで、殿さまは魚つりのでえ好きな人だったがら、
川崎のおおくま川(※)さ来で魚とって、
すっペってころんで川さへえっちまったど。
ほして、うわぜえとこさ来であたらせてけろってあたったど。
ほしたらば殿さま大切にして、こうぞのかわたいてあたらせたど、
いだましいがな。
ほしたら、百姓つうはぜいたくだ。
木さかんなかげでたいてんだがらと言ったど。
殿さまそうずばかだったんだと。

ある日、川崎の百姓が、でえこん持ってきてくっちゃど。
ずないでえこん。これはぜえでえこんだ。
何こやしにしたって聞かっちゃがら、
下肥をこやしにしましたど言ったど。
夜、でえこんおろしにしてくっちゃら、ほしだら、
これさ下肥かげてこって言ったど。

※おおくま川=阿武隈川のこと

山木屋 加藤 喜三郎


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