むかし、女神山にばかむこがいて、仕事は良くできるのだけれども、
食べることに欲があって、食いぬけ(大食漢)と言われたむこでした。
あるとき、お祭りに呼ばれて、
とてもおいしいものを腹一杯ご馳走になりました。
家に帰って何回も、つくってもらって食べようと思って、
「これはなんていうものだ。」
と聞いたら、
「団子と言うものだ。」
と教えられたので、帰るうちに忘れないようにと、
「団子、団子、団子、団子。」
と、ずうっと山も川も通るうち、忘れないで来たのだけれども、
家のそばに来たら気がぬけたのか、
堀を渡るとき、「どっこいしょ」と渡ったら、
今まで「団子、団子。」と来たのが「どっこいしょ」になってしまって、
家まで、
「どっこいしょ、どっこいしょ。」
と来てしまいました。
家に入るよりも早く奥さんに、
「どっこいしょつくってくれ。」
「どっこいしょってなに。」
「こんなようなものだ。」
と、手まねで丸をつくって見せるので、
(奥さんは、)餅でもあるかと思ってつくって食べさせたら、
「これではない。」
と、(ばかむこが)腹を立てて、叩きました。
奥さんが、
「いたい、団子のようなこぶできた。」
と言ったら、
「それ、その団子のことだ。」
と言いました。
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