みどりの中に光る絹の町川俣
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花咲かじじい(じいさまと犬の話)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、じいさまとばあさまがあったど。
じいさまが犬つっち山さ行ぐと犬に、
「こご掘れ、ワンワン。こご掘れ、ワンワン。」
って言わっち、やがましいと思ったげんちょも掘ってみだら、
大判、小判がザックザック出てきたんだと。

じいさまは喜んで持ってけえって、ばあさまさおせで、
「これはてえした宝物だ。」
って、広げて見てだら隣の欲たかりじいさまがきて、
「おめえぜえでどうゆうわけで、こんなに金授がっだ。」
「犬つっち山さ行っだら、『こご掘れ、こご掘れ』って言うがら、
掘っちゃぐったらこんなにたくさん黄金が出だ。」
「ほんだら、おらさほの犬貸っせ。」
「やんだ。」
って言ったげんちょも、聞かねえでつっち行っちまったど。
山さ行ってこご掘れども何とも言わねがな、掘っちゃぐったんだと。
ほしたら汚ねえものばっかり出で、はあ、
欲たかりじいさま、ごせやいちまって、
犬ごとぶっ殺しちまっていげちまったど。
犬貸したじいさまが、
「けえしてけろ。」
って言ったら、
「とんでもねえ話だ。犬におせえらっち掘っちゃぐったら、
汚ねえものばっかし出だがら、ぶっ殺していげちまっだ。」
「なにが、しるし植えでくっちゃか。」
「なにも植えねえ。」
って言うんで、やさしいじいさまは、犬の墓にとマツの木植えてくっちゃんだと。
ほしたら、マツの木がだんだんずなぐなって、
あまりずなぐなったもんで、切って犬の形見にうすをこさったんだと。
ほして、餅ついだらじいさまのめえさザック、ザック、
ばあさまのめえさザック、ザックと、大判、小判が出たんだとさ。

ほしたら、また欲たかりじいさまがきて、
「こっちじゃ、なんでしこたま黄金あんだ。」
「いや、おらえの犬がぶち殺さっちゃどこさ、マツの木植えどったら、
あんまりずなぐなっちまったがら切ってうすこしゃって、餅ついだら黄金出だんだ。」
「ほんじゃ、おらにそのうす貸してけろ。」
「とんでもねえ。おめえなんどに貸さんに。」
って言ったげんちょも、ろぐでなしじいさまだがら、ごいら持ってっで餅ついだんだと。
ほしたら、じいさまのめえさビダ、ビダ、
ばあさまのめえさビダ、ビダど、汚ねえものばっかし出だんだど。
じいさまごせやいでうすつん燃しちまったど。
ぜえじいさまそのあぐ持ってけえってくっと、
そのあぐ風でちっと吹っ飛んで、枯れ木さかがって花咲いたんだと。
こわはぜえもんだと思って、枯れ木さ花咲かせてみっペと、
ずないサクラの木さ上ってだどごろが、殿さまが通りかがったんだと。
「そこにいるじじい、なにじじいだ。」
「枯れ木に花を咲かせるじじいだ。」
「一枝咲がせてみろ。」て殿さまにいわっち、
「一振り振れば、つーぼんだー。
二振り振れば、ひーらいだー。
三振り振れば、つーぼんだ。」
ってあぐまいだら、そのとおりになって、えらいご褒美くれらっちゃど。
ほしたら、また欲たかりじいさまがきて、
「なんだ、こっちではてえしたもんだ。」
「いや、おめえにうす貸しだら、つん燃さっちゃが、
そのあぐ持っでって、一振り、二振り、三振りまいで、
花咲がせで殿さまにご褒美もらったんだ。」
「おれにもそのあぐくれろ。」
って持っでっで、ほして木さ登ってだら、殿さまが通って、
「そごにいるじじい、なにじじいだ。」
「枯れ木に花を咲がせるじじいだ。」
「そんなら咲がせてみろ。」

ところが、花咲かせっペど思ったどころが、
あくが殿さまがら、家来がらのまなぐさへえって、
とうとうわりいじいさまはしばられっちまったんだとさ。

東福沢 菅野 えみ


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