むかし、あるところで、手間取り(臨時雇用)の男を雇いました。
「あの畑に大根をまいてください。」
と言われて、畑を耕して(大根の種)をまいたところ、
(発芽した大根の芽を)間引きするようになったので、
(男が)「大根の間引きを、どうしましょうか。」
「一本立ちにしろ。」(一本一本の間隔を空ける)
と(だんなさんに)言われて、(周りの大根を)全部抜いてしまって、
畑のまん中に一本だけ残してしまいました。
畑のまん中にポツリと。
だんなさんは、
「困ったな。それじゃしょうがないから、
ぐるりと(周りに)穴を掘って、一生懸命肥料をかけろ。」
と言いました。
そしたら、その大根の育ったこと、育ったこと、途方もなく育ってしまいました。
収穫するようになって、その近辺の人に頼んでみんなで引き抜いたら、
見たこともないとても大きな大根でした。
その大根が、
「伊勢参宮に行きたい。伊勢参宮に行きたい。」
と言いました。
それじゃしょうがない。
大八車につけて人を頼んで、ヨイサ、ヨイサと引いていきました。
街道を通ると、
「大きな大根だ。大きな大根だ。」
と、びっくりしてみんなが集まってきました。
人は宿屋に泊まることができるけど、大根は大八車につけて表におくから、
どこに行っても葉っぱをむしられて、最後には葉っぱがなくなってしまったはなしです。
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