みどりの中に光る絹の町川俣
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ヘビむこ入り(ヘビと娘の話)(1)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

暮らしのぜえどこの娘ではなかったそうだがない、
むかしはどこでも機織りしたっペない。
「晩げしなになっだがら、水汲んでこ。」
って遠ぐの井戸さやらせらっちゃど。
ほしたら、立派なさむれえさまがきてでない、
「今夜、おじゃますっからな。」
って言ったんだと。
娘は気持ぢ悪くて、おっかさんに話したんだべ。
「こういう立派なさむれえさまが、こられるちゅうだげんちも、
おらああだりさ、ああいう立派なさむれえさまがこられるはずなんがねえ。」
ほしたら、おっかさんも利口で、さとってない、
「ほれは並たいてえの人でねえんだから、羽織着ったったげが。」
って聞いたら、娘は、
「着てだ。」
って言うんでない、
「ほんじゃきたらばな、羽織りのすそさ針さして、
糸あるだけからんでな、ふぐしてやれよ。」
って言ったんだと。

ほしたら、その晩、
いわっちゃとおり蚊帳つって寝てっとこさへえってきたど。
娘はおっかさんに言わっちゃがら、
糸を針のめどさとおして、団子さつっとおして待ってだと。
すきみて羽織りのえりさそっと針さして、糸ふぐれるだけふぐしてやったんだと。
「あした、その糸たぐってみろ。」
って言わっち、行ってみだら、
大きなけやきの木のぼっくの中にさ、ずない蛇がうなって寝てたど。

鶴沢 佐藤ユワイ


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