むかし、あっどこでない、嫁さんもらったんだと。
てえへんぜえ嫁さんだもんだがら、みなして喜んでだどごろが、
だんだん顔色わりぐなって泣いでだんだって。
これはなじょしたもんだ。
体でもぐえいわりんだど思って、
「嫁っこ、嫁っこ、なしてふさいでる。顔色すぐれねがなじょしたんだ。」
「聞かっちゃっから言うが、実はへこでえでだんで、青ぐなっちまったんだ。」
「なんだ、ほんじゃ、へぐれえならたれろ。」
「たれでもぜえが、おらのへはとってもてえへんなへだがら、
炉ぶちさつかまっででくなんしょ。」
って言ったど。
ほんじゃ、それはど言うんじゃと、炉ぶちさつかまってたんだと。
嫁こがボーンとたっだら、
おっかぁさまは天井までドーン上がってバタッと落ぢで、
またボーンとたれっとドーン上がっで、ドスーンと落っこじたど。
おっかぁさんはおったまげで、おっがなくなり、
「嫁こ、嫁こ、への口止めでけろ-。」
って騒いだんで、への口止めたんだと。
おっかぁさまはおったまげちゃって、とんでもねえ嫁もらっじまった。
こんなごどしょっちゅうやらっちゃんでは、たまったもんでねえど、思って、
息子ども相談して出しちまったど。
嫁こはへたれねどぐえいわりくなっちゃうし、たれっとみんなに迷惑かげっし、
がおっちゃったなぁど思って、トボトボとぜえ(家)さけえる途中、
柿の木の上さ上がって、さおで柿落どししてる人さあったど。
「そんなごどしてで日ぃ暮れっペなあ。
おらがへ一つたれっど、みな落ぢっちまうがな。」
って言ったら、
「なにかすかたる。ほんじゃやってみろ。」
って言わっち、ほんで、ボーンとやったら、
柿がバラ、バラ、バラど一っペんに落ぢちまったんだと。
いやあ、これはぞうさなく落ぢるもんだとなって、礼金たんともらったんだと。
おん出したぜえでそれ聞いで、調法な嫁だ、
柿落どしといわず、その力借りだぐて戻ってきてもらったど。
へでだくなったどきは裏さ行って、ドーンとたれるようにさせたど。
そこのぞえでは何かのどきにはみんなに頼まっち、金もうげしたんだとさ。
※へっぴり嫁の話はこの他、羽田 長沢マサ、
飯坂 三滞伊吉・高橋正、川俣 佐藤晴男、
大綱木 管野佐吉、山木屋 氏家貴美治等の
各地区でも採集されており、へで柿か梨かの
違いがみられるだけである。
川俣 黒江 キク
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