みどりの中に光る絹の町川俣
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一粒の飯(法印さまの奥参りの話)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかしは奥三山ってな、月山、羽黒山、湯殿山は、
お山の神さまになってでな、この奥めえりは命がけだったと。

おらが五ツ六ツの頃、本家のじいさまが奥めえりさ行ぐごとになったど。
橋のてめえまでまけじゅうして送ってったもんだ。
けえ-って来る日は、橋を渡って向うで迎えた。
それまでまけじゅう精進して、生臭せえ-物は一切口にしながったもんだ。

むかし、むかし、法印さまが、奥三山さ行く途中、
ごいらもよろしてきて、通りすがりのあごやさへえったど。
ほして、用足して出だどころが、めえのきん隠しさ飯粒が一つくっ付いでだど。
もってえねえなど思ったが、そのまんま山さ向がって行ったど。
山の途中まで行ったところが、なじょしたわけか油汗は出る、
足は一歩もめえさ進まなぐなっちまって、
金しばりに会った時みでえに体がきかなくなっちまったど。
なじょしてこうなったべといろいろ考えでるうち、
法印さまだがらあごやの飯粒でねえがと気が付いて、
飛ぶように戻って行ったど。
ほして、それを拾って
「ありがたくいただきます。」
ってくったどころが、今度は羽へえたように足が軽こくなって、
無事に頂上さ行って帰ってきたとさ。

川俣 佐藤 庄吉


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