むかし、小手の殿さまが村の人に、
「ここはなんてところだ。」
と聞くと、
「ここは小神(こがみ)でございます。」
「それでは、山の向こうはなんとゆう。」
「小島(おじま)と言います。」
そしたら、殿さまはおれを馬鹿にしていると腹を立てて、
牢にぶち込めてしまいました。
そして、打ち首にしろと命じて、
「この世の別れに、なにか言い残すことがあったら言ってみろ。」
と殿さまに(村人が)言われたので、
「最後の別れに、息子に会せてください。」
と言うので、会わせたら、
「俺はここで殺されてしまうが、おまえに言っておくが、
これから決して干したいかをするめと言ってはいけない。
生(なま)のうちはいかだが、干してしまえばするめだ。
同じ小さいという字も、かたほうは小神、
かたほうは小島と言っただけでも打ち首になるからな。」
そしたら、殿さまが脇で聞いていて、
「うん、なるほど。それもそうだ。」
と、死罪を免れました。
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