みどりの中に光る絹の町川俣

子育て幽霊

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、あっとこに娘があったど。
その娘がぜえにかせでいた手間取りと、仲がよくなっちまって、
親が反対したっつんだが、おどっこ生むようになっちまったんで、
仕方なく一っしょにしたんだと。

ほして、八カ月位たった時、そのむこがどうしたわけだか、
ぼっくり死んじまったんだと。
まれからまもなく、娘もおぼこ生まねまま死んじまったんだと。
親たちもがっかりしちまって、死んじまったからと、
近くに墓造って埋めてくっちゃんだと。

ほうしたっげがな、ある夜ふけに村のあめ屋の戸を、
「トン、トン、トン、トン。」
って、たたくもんがあったんだと。
あめやのじいさまが起ぎできで、
「なに用だ。」
って言ったら、
「あめくんつぁんしょ。」
って、一文銭つんだしたんで、あめ四つくっちゃたんだとさ。
ほしたら、次の晩もやってきて、あめ買っでてな、四回もきたんだとさ。
店のじいさまが
「おがしねぇな。なんだが手がひゃっこかった。」
ってんで、後さついてくと墓の方さ上って行くだ。
どこさ行くんだべと気持ちわりがったが、
新しい墓んどこで、ボット、姿が見えなくなっちまったど。
幽霊かなと思って土さ耳あてて聞いてみっと、
なんとなくおどっこの泣くような声がしたんだとさ。

ほんじ、次の朝、みんなに聞がせて、墓さ行って掘ってみっと、
女のおどっこが出てきたんだと。

小島 菅野クニエ


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