みどりの中に光る絹の町川俣

餅争い(カエルとサルの話)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、山ん中にずねえカエルと力のあるサルがあったど。
カエルは餅米作って持ってだど。
サルはそのごと聞いたもんだがら、餅食いだくなっちゃって、
「カエルさん、おら臼ときね用意すっから、
餅ついで二人で分げっこして食うべ。」
って、餅ついだんだと。
ついでるうぢにサルもカエルも腹減っちまったもんだがら、
一人で食えば腹くっちくなるほど食えっつぉと思ったど。
ほしたら、サルが、
「カエルさん、高い山さこの臼しょってって、
ゴロゴロ、ゴロゴロ、転ばして、早く餅さ着いだ方が食うごとにすっペ。」
「それもえがんべ。」
となって、サルは力あっがら臼しょって山さ登って行ったど。
ほして、一、二の三って、ゴロゴロ、ゴロゴロおっ転ばしてやったど。

サルは早いがらピョンピョン、ピョンピョンはねで、臼と一緒に行っちまったど。
カエルもかしけえがら、途中で臼がら餅がはなれるように、水をつげでおいたんだと。
ほんじゃがら、サルが臼を追っかげで下まで行って、ひょいと見だら空っぼだったど。
これはどこがさ落ぢちゃったどって、夢中になって戻ってきたら、
カエルは思ったどおりに落ちた餅を、うまそうにペタ、ペタ食ったど。
サルはなんぼくやしくても仕方ねえがら
「ほれ、ほっちがら食え。ほれ、あっちがら食え。」
って、よだれ流しながら遠ぐがら眺めでだと。

川俣 佐藤 晴雄


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