むかし、山の中に大きなカエルと力のあるサルがいました。
カエルは餅米を作って持っていました。
サルはそのことを聞いたので、餅が食べたくなってしまって、
「カエルさん、私が臼ときねを用意するから、
餅をついて二人で分けっこして食べましょう。」
と言って、餅をつきました。
ついているうちにサルもカエルもお腹が減ってしまったものだから、
一人で食べればお腹いっぱいになるほど食べられるぞと思いました。
そしたら、サルが、
「カエルさん、高い山にこの臼背負って行って、
ゴロゴロ、ゴロゴロ、転がして、早く餅に着いた方が食べることにしましょう。」
「それもいいでしょう。」
となって、サルは力があるから臼を背負って山に登っていきました。
そして、一、二の三と、ゴロゴロ、ゴロゴロと転がしました。
サルは早いからピョンピョン、ピョンピョンはねて、臼と一緒に行ってしまいました。
カエルも賢いから、途中で臼から餅がはなれるように、水をつけておきました。
それだから、サルが臼を追いかけて下まで行って、ひょいと見たら(臼は)空っぽでした。
これはどこかに落ちてしまったと、夢中になって戻ってきたら、
カエルは思ったとおりに落ちた餅を、うまそうにペタ、ペタ食べていました。
サルはどんなに悔しがっても仕方がないから、
「それ、そっちから食え。それ、あっちから食え。」
と、よだれを流しながら遠くから眺めていました。
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