みどりの中に光る絹の町川俣

長良の人柱(嫁と姑の話)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、あるぜえで嫁っこ貰ったんだげんじも、
話もしねえで黙ってばかしいたんだと。
ほんで、なんともしょねがらけえすほかねえべとなってない、
姑おっかぁさまが送って行ぐべって送って行ったんだと。
ほしたら、途中でキジが飛び出したと思っだら、
鉄砲ぶちがドーンとぶったんだと。
ほしたら、嫁っこが、
「口ゆえに親は長良の橋枕、キジも鳴かずばぶたれないもの。」
って、歌を詠んだんだと。
姑おっかぁさまもその歌聞いてで、こういう嫁ではけえすことねえど思って
「口ゆえにって、どうゆう訳だ。」
って聞いだら、
「おどつぁんが橋普請してっどこさ通りががったら、
橋が流されでしょーねえんだって聞いで、
『ほういうどこさは人いげとげばぜえんだ。』って言っだら、
『ほんなら、人いげるたって誰ごといげたらぜえんだ。』ってなってない、
『縦じまさ横じまの切れついだ人にすっペ。』って、話になったんだと。
あまだの人がいだもんだから、ほんじゃとなったどころが、
おらのおどつぁんがそうゆう切れ付いてたんだど。
ほして、『ほんじゃ、この人いげろ。』ってなってない、
おどつぁんがいげられっちまったんだ。
ほだごどさえ言わねがっだら、いげられっこどもねんだし、
キジも鳴かながったら、ぶだれっこどねんだべ。」

おっかぁさまはほれ聞いで、ほういう訳があったのが、
歌を作るような嫁ではけえすごとねえど思って、連れでけえってきたんだと。

飯坂 佐藤 勝美


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