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ネズミ経(にわか坊主のお経の話)(現代語版)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、ある人が用を頼まれて大金を持って、
「どこそこまで行ってきてください。」と言われたそうです。
途中で追いはぎに会ったら大変だ。
無事に用たして帰ってくるには、
坊さまの支度をして行くにかぎると思って、
にわか坊主に化けて出かけました。

そうして、あるところまで来たら暗くなってしまい、
泊まるところはないし、どうしようと思っていたら、
明かりがもれている家があったので、そこに行きました。
「暗くなったから、一晩泊めてください。」
と言ったら、じいさまとばあさまがいて、
「ああ、ちょうどいいとこに坊さま来ていただいた。
じつは娘が死んで、葬式をすませたばかりです。
功徳にひとつお経をあげてください。」
と言うので、今さら坊さまでないと言えないので承知しました。
じいさまとばあさまは、ちゃんと仏壇の前に坊さまの席を設けて、
「坊さま、ひとつ供養お願いします。」
と言われましたが、にせ坊主だからお経のおの字も知らない。
なんて拝んだらよいかわからない。
初めはカーン、カーンと鳴らしながら、むにゃむにゃとやっていたが、
すぐ脇にじいさまとばあさまがいるから、何か文句を唱えなければならない。
そうしたところ、仏壇のうしろからネズミがチョロ、チョロでてきました。
これはいいと思って、
「おんチョロ、チョロと穴のぞきー、カーン。」
と適当に言いました。
そしたらネズミがひっこんで、また出てきました。
「また、チョロ、チョロと穴のぞくー、カーン。」
と言いました。
そしたら今度は、ネズミが二匹出てきて、チュー、チューと鳴いたので、
「何やら相談しており候。カーン。」
と言いました。
ネズミはキョロ、キョロようすを見ていたが、ひっこんでしまったので、
「どこにか逃げ行き候。カーン。」
と言いました。

じいさまとばあさまは、坊さまが帰ってからも、
そのお経をありがたがって、毎晩、娘の供養に唱えていました。

ある晩、二人の泥棒が娘を亡くしたことで、
お悔やみがたくさんあるに違いないと思い、
(じいさまとばあさまの家に)忍びこんで障子の穴からそっとのぞいて見ていました。
そうしているところ、じいさまとばあさまが、
「おんチョロ、チョロと穴のぞきー、カーン。」
と言ったのでびっくりしてしまいました。
これはさとられたと思って、さっと身をひいて、またのぞいたら、
「また、チョロ、チョロと穴のぞくー、カーン。」
と言ったので、泥棒はびっくりして、
「おい、あい棒、すごいじいさまとばあさまだ。
おらがのぞいたことを知っているぞ。じっとしてようすを見てみよう。」
とこそこそ言ったら、
「何やら相談始め候、カーン。」
と言いました。
泥棒はびっくりして逃げ出したら、
「どこかへ逃げ行き候。カーン。」
と言ったので、きもをつぶして逃げていきました。


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