みどりの中に光る絹の町川俣
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鬼とニワトリの声(心がけのよいおじいさんと欲深いおじいさんの話)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、心がけのぜえじいさまと、
欲ふけえじいさまとが隣合って住んでだと。
心がけのぜえじいさまは、毎日、朝早くから夕方おそくまで、
畑さ行ってかせえでたと。

ある日、用たしさ行ってのけえり暗ぐはなるし、雨が降るしで、
ぜえさけえれねもんだから、途中の空屋さ泊まっちまったんど。
下はしけっからと天井のはりさあがって寝てたど。

夜中になって、うっつぁしくて目をさますと、
下さ鬼どもがあづばってばくち打ってたど。
じいさまは静かにして鬼どもがけえるの待ってだが、
いづまでたってもけえらねえんで、
鬼ども追っぱらってやっペとむしろでもあったんだべ、
それでバサ、バサっと音たてで、
「コケコッコー。」
って言っで、一番鶏(とり)のまねすっと、鬼どもはおったまげで、
「やっ、てえへんだ。夜あげっちまう。ほれ、早く逃げろ。」
って、あわてでせえふがらさいころがらそこさおいで、
逃げてちっまったど。
じいさまは、これはぜえ授かりもんだって、
ぜえさ持ってけえったど。
隣の欲ふけえじいさまがそれを聞ぎつけで、
「どごがら授かったんだ。」
「実はな、これこれ、こおりゅうわげだ。」
って言ったら、
「ほんじゃ、おらも行ってみっペ。」
って、暗くなんねえうぢから、
空屋のはりの上さあがって鬼のくるのを待ってたど。
なんのじょ、鬼どもが集ばって、ばくち打ち始めたど。

じいさまは、あんまり早ぐから寝てだもんだがら、
宵の口がら目がさめちまっで、しょんべんしたくなっちまったのと、
鬼どもの銭(ぜに)っこさ目がくらんじまっち、
むしろでバサ、バサやって「コケコッコー。」って、
力んで声出したもんだから、
鬼どもの頭さしょんべんひっかけちまったど。
鬼どもは、
「何だ。これ。星出てる空から、雨降るわげねえ。
変なにおいだ。こりゃ、人間のしょんべんだ。
このめえのとりの鳴き声まねしで、金取ってたやつだべ。」
って、はりさあがってっで、じいさまとっつかめて、
持ってだ鉄棒でぶっ殺してしまったど。

川俣 佐藤 庄吉


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