南山のばかむこがしゅうとの家に行ったところ、
鬼かけ馬(※1)を飼っていたそうです。
暴れ馬で誰も手をつけられませんでした。
しゅうとおとっつまが、
「この馬には、誰も乗る人がいないんだ。」
と言ったら、
「おらが乗ってあげましょう。馬なんてなんでもないよ。」
と、乗ったところが、勢いよく走り出して、
どんなに手綱をひっぱてもどうしても、止まるものではない。
ばかむこは、
「ホーイ、ホーイ、ホーイ。」
と、泣き泣き乗ったそうです。
それを見て近所の人たちが、
「たいしたむこだ。
誰も手をかけない馬に乗って、鼻歌がけで(※2)行ったぞ。
えらいむこだ。」
と言ったそうです。
※1 鬼かけ馬=暴れ馬
※2 鼻歌がけで=鼻歌うたって
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