むかし、あっとこの長者屋敷に、
おつるさんていう娘があって、機織りしておったんだと。
すっと、いつもばんげになっと、
「おつるさん、おつるさん。」
って呼ばる人があったんだと。
「はて誰だべ。」
と外さ出てみっと、誰もいねえんだど。
何日かたってがらキツネがおっぼ(尻尾)をない、
節めどさ突っ込んで、ツー、ツー、ツー、ツーとやってんがながわかったど。
ほれが、
「おつるさん、おつるさん。」
と聞えてたんだとわかったど。
今はその屋敷もねえげんと、どこどなし、そごさ行くとさびしない。
福田 高橋 ナカ
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