みどりの中に光る絹の町川俣

産神問答

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、ある六部(※)が村のお堂さ泊まったんだと。
ほしたら、夜中にゴヤゴヤ、ゴヤゴヤって声がして、
「その子の寿命は。」
「十三の初かみそりよ。」
って言って、ちらげっちまったど。
あくる朝、六部が村の中さまわって行っだら、
あるぜえでおどっこが生まっち大喜びしてたど。
六部はとんぼぐちで拝んでから、お堂で聞いだごとを書いで、
「このややこがな、十三年目の今日、またくっから神棚さ上げで拝んでろ。」
って立ち去ったど。

ほして、十三年たったその日にきたら、
なんのじょ、わらしがかみそりを使ってるうぢに、
ちょ-まがきでうっさしいもんだから、
おんなぐっぺと思ったらかみそりで自分の首切っちまったど。
ほんに人の命ってもんは、生まっちゃどきにちゃんときまっちゃってんだな。

※六部=六十六部の略、六十六部の法華経を納めてまわる行脚僧、
江戸時代は鉦や鈴をならして米、銭を請いまわった。

飯坂 佐藤 勝実


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