みどりの中に光る絹の町川俣
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信夫山のごんぼキツネ(しっぽの短いキツネの話)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

信夫山はお山と言ってるがない、
むかし、お山のごんぼギツネど、
なんていう山だが忘っちゃが、その山のキツネとが、
「金持ちばかにして、金取って酒でも飲むべ。」
と相談したんだと。
お山のキツネの方がかしけえかったんだべ。
人さ化げで別なキツネが馬になったど。
ほして、
「馬買ってけろ。」
って、ある金持ちのぜえさ行ったど。
馬買うどきは歩がせで歩きぶり見だり、姿、格好見で買うわけだ。
そのぜえのだんぽが後ろ足がどうだ、こうだって言えば、
化げでんだがらそのとおりに直すし、
首の振り方がどうだって言えば首も直すし、
立派な馬になっちまったわげだ。
だんぽは喜んで言い値どおり買ってくっちゃど。

お山のごんぼギツネはいっペえ金もらって、
わがばかり飲んだり食ったりしちまったど。
馬に化げだキツネはすぐ逃げられっと思っだが、
厳重に馬屋さかこわっちゃもんだがら逃げらんにゃかったど。
そのうぢ馬屋から引ばり出さっち、体や足を洗らってもらってるうぢに、
やっと逃げでお山のキツネのどこさ行ったど。
分けめえくんつぇって言っても、
飲み食いしちゃったもんだがらもらわんにゃかったど。
よし、見でろ。
今に敵(かたき)取ってくれっからど、ほんどぎはけえってきたど。

寒い冬のある日、川でいっぱい魚取って食ってたどこさ、
お山のごんぼギツネがやってきて、
「おらさも分げでけろ。」
「いや、だめだ。阿武隈川さ行けば、なんぼでも取れる。
よあけしなに行って、川さしりっぼ浸しでじっとこれえてれば、
なんぼでもかかってくっつお。」
っていったど。
お山のキツネは本気になっで、よあけしな、阿武隈川さ行ってしりっぼ浸してたど。
かんかんどいう寒い日だったがら、しみちゃってしりっぼ抜げなくなっちまったど。
そのうぢに夜が明けて、村の人だぢも仕事さでがげてくるもんだがら、
あわてでむりやり引っぱったら、しりっぼポッツリ切れちまったど。
ほんじゃがら、お山のごんぼギツネと言われるようになったんだとさ。

小島 新関 善二


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