みどりの中に光る絹の町川俣
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しり鳴りへら(あほな人の金儲けの話)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、むかしない、あっとこに、あほな人があったど。
まんまはうんと食って、ぶらぶら遊んでばかしいたんだと。

ある日のごど、気が向いで上の神さまんどこさ行ったんだってない。
何かあっがなと思って上がっててみだら、何もあがってねえもんで、
頭がわりくれだがら、わきさ行ってあごたっちゃんだと。
ほして、何もぬぐうもんねえもんだがら、
神さまのわきさ投げてあったへらで、ひょっとしりぬぐったんだと。
ほしたら、しりが鳴きだしたど。
「トーピスカラピス、スッカラピース、スカスカギンナン、ハッカッコ。」
って鳴ぎだして、それがなんぼにも鳴ぐんだってない。
困っちゃってしりなどつかんだってなんだって、
鳴ぎどおしで止まんねがら、まんまわげる方でちょっとしりこすったら、
ぴたっと止まっちまったんだと。
これはぜえもん授がった。
あほだ、あほだって言わっちっから、
こいづでまんま食う方法できっつぉど喜んでだと。

ほうして、ある日のばんげしな、
村一番の長者のすいしろさ忍びこんで、
娘が風呂さへえっどきちょっとへらでやったらばない、娘のしりが、
「トーピスカラピス、スッカラピース、スカスカギンナン、ハッカッコ。」
って、鳴ぎどおしに鳴ぎだしたど。
いやあ、娘も湯さへえったものの、鳴いでばかりいっから、
ぜえさ飛びこんだらみんなもおったまげちゃったど。
ほれがら、医者さまよ、ねぎさま(神主)よって、
直してもらう気になって頼んでも、直んねんだって。
こういうしりの鳴ぎ方初めてだし、なんでこだに鳴ぐんだべやど、
娘もみんなも困ったもんだと青ぐなってだどき、
あほだ、あほだと言わっちた男が、きれいな切れさへらつつんで、
「しりの鳴ぐのを直すー。しりの鳴ぐのを直すー。」
って、向いの道を通ってったんだと。ぜえの中でそれ聞ぎつけで、
「おらえさ来てくなんしょ。」
って、呼び止めらっちそのぜえさ行ったど。

娘のわきさ座って、ちらっと薬飲ましてない、
きれいな切れがら見せねようにへら出して、
まんまわげる方でちょっとなでだら、ぴたっと止まっちまったんだと。
「どういうごどして直した。なに薬飲ました。」
って聞かっちゃんで、
「金けつよりえん丹っていう薬飲ましだ。」
って言ったど。
直ったんでうんと喜ばっち、あほな男はお礼にうんと金もらって、
ぜえさけえってきてぜえ建でだりなんだりして、
きれいな嫁っこももらったんだとさ。

川俣 菅野 サノ


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