むかし、あっとこに、
情ぶけえばあさまと欲ふけえばあさまが、隣合って住んでたど。
ある日、村のわらしらが、一羽の子スズメを取っつかまえでいじめでるのを、
情ぶけえばあさまが見ておったど。
あんまりもごさいんで、わらしらに駄賃くっち子スズメを貰ってきたど。
ほして、毎日傷が治るまで手当てをしてくっち、飛ばしてやったど。
ほれから、しばらくたって、
庭先きさスズメがピンチョコ、ピンチョコやがましく鳴くんで出てみっと、
そん中の一羽のスズメが、パーッと飛んできで、
ばあさまの肩さ止まって、なんだかポロッと落どしでいったど。
ひょうたん種だったと。
恩げえしのつもりで持ってきたのがなあっと思って、
せっかくだからまいてみたど。
ほしたら、芽を出してな、
どんどん伸びてずないひょうたんが二つなったど。
中をくりぬいで何かに使うべと、口切って中の種だの、
かすだの取るぎになって振ってみっど、
一つのひょうたんから金がザラ、ザラ、
もう一つのひょうたんから米がサラ、サラたんとでてきたど。
「これはありがてえもんだ。」
って、また振ってみっど、米がサラ、サラ、金がザラ、ザラ、またでてきたど。
ほれから、ばあさまはちっとも米さ不自由しねえで、しんしょもちになって暮らしたど。
ほれを聞いた隣の欲ふけえばあさまは、よし、おらもやってみっペとなったど。
ほんだからって、けがしたスズメがねえもんだがら、
スズメつかんできていじめて、ほして、むりむり飲ませ食わせして飛ばしてやったど。
ほしたら、しばらくして、ひょうたんの種おいでいったど。
これはしめだ。
おらも一生米さ不自由しねえど思って、まいてひょうたんならしたど。
口切って振っでみたら砂がザラ、ザラとでてきたど。
も一つ口切って振っでみだら、中がらポコ、ポコ水がでてきたど。
においかいでみっと酒だったと。
こりゃ、おら酒好きなこと、スズメっこわがってで酒くっちゃなと喜んだと。
わがも飲んでてえしたつもりして組の人さも飲ましたんだと。
さあ、次の日になったら自分も組の人もさ、腹下りになってな。
「とんでもねえもん、ごち走さっちゃ。」
って、みんなからさんざんいじめらっちゃどさ。
川俣町 佐藤 庄吉
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