みどりの中に光る絹の町川俣
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スズメの報恩(おばあさんとスズメの話)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、あっとこに、
情ぶけえばあさまと欲ふけえばあさまが、隣合って住んでたど。

ある日、村のわらしらが、一羽の子スズメを取っつかまえでいじめでるのを、
情ぶけえばあさまが見ておったど。
あんまりもごさいんで、わらしらに駄賃くっち子スズメを貰ってきたど。
ほして、毎日傷が治るまで手当てをしてくっち、飛ばしてやったど。

ほれから、しばらくたって、
庭先きさスズメがピンチョコ、ピンチョコやがましく鳴くんで出てみっと、
そん中の一羽のスズメが、パーッと飛んできで、
ばあさまの肩さ止まって、なんだかポロッと落どしでいったど。
ひょうたん種だったと。
恩げえしのつもりで持ってきたのがなあっと思って、
せっかくだからまいてみたど。

ほしたら、芽を出してな、
どんどん伸びてずないひょうたんが二つなったど。
中をくりぬいで何かに使うべと、口切って中の種だの、
かすだの取るぎになって振ってみっど、
一つのひょうたんから金がザラ、ザラ、
もう一つのひょうたんから米がサラ、サラたんとでてきたど。
「これはありがてえもんだ。」
って、また振ってみっど、米がサラ、サラ、金がザラ、ザラ、またでてきたど。
ほれから、ばあさまはちっとも米さ不自由しねえで、しんしょもちになって暮らしたど。

ほれを聞いた隣の欲ふけえばあさまは、よし、おらもやってみっペとなったど。
ほんだからって、けがしたスズメがねえもんだがら、
スズメつかんできていじめて、ほして、むりむり飲ませ食わせして飛ばしてやったど。

ほしたら、しばらくして、ひょうたんの種おいでいったど。
これはしめだ。
おらも一生米さ不自由しねえど思って、まいてひょうたんならしたど。
口切って振っでみたら砂がザラ、ザラとでてきたど。
も一つ口切って振っでみだら、中がらポコ、ポコ水がでてきたど。
においかいでみっと酒だったと。
こりゃ、おら酒好きなこと、スズメっこわがってで酒くっちゃなと喜んだと。
わがも飲んでてえしたつもりして組の人さも飲ましたんだと。
さあ、次の日になったら自分も組の人もさ、腹下りになってな。
「とんでもねえもん、ごち走さっちゃ。」
って、みんなからさんざんいじめらっちゃどさ。

川俣町 佐藤 庄吉


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