みどりの中に光る絹の町川俣
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旅人と大蛇(七里四方を取り巻く大蛇の話)

印刷用ページを表示する掲載日:2012年7月1日更新

むかし、むかし、
盲の旅人が町さ行くのに、ある大きな山さ通りかかったんだどさ。
旅人は笛を吹きながら山さ登って行ったけんじも、
日はとっぷりと暮れちまって、仕方なく野宿すっことにしたんだと。
淋しくて笛を吹いてっと、立派な侍が通りかかって、
「わしは人間ではない。この山の七里四方を取り巻く大蛇だ。
おまえの笛の音があんまり美しいんで、こうしてこっちまでやって来たんだ。」
って言うと、しばらく笛の音を聞いておったど。
旅人が笛を吹き終えっと、大蛇は、
「このことは他の人に言ってなんねえぞ。
もし言ったらおまえの命はねえと思え。」
と言って、どことなく消えていっちまったど。
次の日、旅人は町さ着くと、
黙ってらんねえで町の人たちにしゃべっちまったど。
すっと旅人はその場さごいらばったりと倒っちまったど。
その話を聞いた町の人たちはその山さ登り、
山を取り巻く七里四方の大蛇の住む地割れさ、
金の矢を七百本打ちこんだと。
すっと大蛇は七日七晩苦しんで死んじまったんだと。

鶴沢 氏家 スイ


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