むかし、ある寺さ和尚さんと小僧がいたど。
小僧は毎日、和尚さんに言いつけらっち、ご飯を炊いでだと。
指一本出した時は一升、二本出した時は二升、
米とがなくてなんねえだと。
どうも一升、二升ばりかせらっちゃんでは、
腹いっペえ食わんねつんだな。
小僧のやろう、何とがしてたんと炊ぎでもんだど考えたんだと。
ほして、せっちんの板をぐるっとのこずりでひいて、
ちょこっと上っと、落ぢるようにやっておいたんだと。
いづも朝ま、和尚さんがせっちんさ行ぐもんだからな。
ほして見とったんだと。
和尚さんほだごど知んねがら、
タッ、タッ、タッ、タッ行ってせっちんさへえったが、
ドサッと板落っこぢゃったど。
「あーっ。」
って、両手広げて指十本出したつがら、
小僧はほんじゃっとなって、米一斗炊いじゃったど。
ほんどきは、腹くっちくなるまで食べたんだとさ。
大綱木 菅野 佐吉
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