みどりの中に光る絹の町川俣

銅製懸仏三面

印刷用ページを表示する掲載日:2012年3月29日更新

町指定有形文化財 銅製懸仏三面(どうせいいかけぼとけさんめん)

所在地:福島県伊達郡川俣町字寺前19番地 常泉寺

地図で探すのページへリンク

銅製懸仏三面の写真

懸仏は御正体ともいわれ、円形の銅製鏡板に半肉彫の仏像、神像等をはりつけ本地仏、御神体とし、これの両肩(または中央)に取手をつけ懸垂に便にしたものである。懸仏を神殿、仏堂内陣に安置するか、堂前に懸垂する風習が平安時代後期から神仏習合の社寺に行なわれた。

常泉寺の懸仏は三面あり(一)は鏡板を失ない本体のみで高さ約9cm、四臂であり頭部に化仏があるので千手観音であろう。(二)は経16.5cm、(三)は経12cm、共に二重身光を背にした坐像で、持蓮花の聖親音で取手は古風な受花である。(3)は中央に一つ付けている。

戦前七窪舘跡東斜面から出土したもので、いずれかの社寺の御正体が埋納されたものであろう。本懸仏は仏体が打出しの技法による製作で、取手の形式や千手観音信仰から併せて考察すると、鎌倉時代前期までさかのぼることができると考えられる。本県最古の懸仏は棚倉町都々古別神社、同宇迦神社に藤原時代のものがあるが、これに次ぐものとして貴重である。

なお「小手風土記」によると、飯坂の諏訪神社の御正体も懸仏であり、これらは中世における川俣地方の信仰、文化を知る上に重要な文化財である。


[表示切替]
モバイル | | トップに戻る