長徳3年(997年)藤原氏一族の藤原中納言実友が地方巡視の為陸奥に下った。岩瀬郡鉾衝(ほこつき)宮(長沼町鉾衝神社)にたどり着き、ここで一夜を過ごした時のこと、一人の老翁に阿古屋の松(出羽国阿古屋にある老松で、枕詞に使われる当時の名所)は、何処にありやと問うたところ、老翁は我家の近くなりと案内に立った。
併しゆけども行けども、山また山の深山幽谷に踏み入ってしまった。その時老翁は忽然と変じて老猿となり、一声高くうそぶくや枯木を投じて危害を加えんとした。
その時中納言、今はこれまでと「みちのくの阿古屋の松を尋ねわび、身は朽人となるぞ悲しき」(後この歌により口太山と称す)と詠じたところ、不思議や一頭の白鹿現れ、群猿をけちらし一條の藤蔓を口にし中納言に渡し、その端を口にして先導し漸くに人里(小綱木村)に逃れ出した。(川俣町史資料 社寺明細調書(1878年))
山頂に咲く「ヤマツツジ」
[表示切替]
| | トップに戻る