小神麓山の山頂にある社は、福島市信夫山の羽黒山を移した社であり、女人禁制の山であった。祭礼は旧暦3月28日である。(信達一統誌)
北を望むと月舘町や霊山を望むことができる
羽黒山権現に仕える動物は、4本脚のある白蛇で山の中に棲むといわれる。
春日神社に村内の氏子が参集し、夜を明かして身を清め、神社の裏から尾根伝いに登り、山頂で祈願をして下山した。
旱天が続き、水田に水が不足した時に雨乞いの祈願をした。村民は春日神社に蓑笠をつけて参集し山頂に登り、天に向かって「雨たんもいおうや。西から雲ぶったってざあざあと降ってこう」を唱えて祈った。その後山を下り雷の雷神様に参拝して解散した。
元日の朝、夜の明けない暗いうちに羽黒山権現様にお参りをして、山頂から雷様の歳をとった方角を確認して、今年の作(農作物の豊凶)を占うものである。昔の正月は旧暦であったので、山頂からの眺めは真っ暗であるが、明るく輝いて消える方向を認めることができるこの方角が雷様の歳をとった方角であるといわれる。この輝く方向が東であると豊作の兆しであると伝えられている。
庚申塔から東へ進むと緩やかな斜面が広がる。昭和20年、食糧増産のかけ声のもと、ここを川俣国民学校と川俣女学校の生徒が開墾してソバを栽培した。
山頂は平坦で、周囲には数段の平場が設けられており、舘跡であることがわかる。山頂からは霊山(りょうぜん)を眺望することができ、霊山城の見張りのために設けられた舘といわれる。山頂から羽田羽山への道を進むと舘の範囲を区切る空掘がある。
昭和20年代に麓山からはニッケルを含む鉱石が発見され、南東部の中腹からニッケル鉱山を掘り出したが、埋蔵量やニッケルの含有量の少ないことから採掘が中止された。付近に露出している岩を細かに砕き、磁石を近づけると石の粒がつく。また、白い木の板切れのように見える石綿を見つけることができる。
「わたっしゃ 小神の麓山の下よ 生水(きみず)飲むせいか 色黒い」
[表示切替]
| | トップに戻る